貴族が持つ木の板「笏(しゃく)」とは?本来の用途と歴史を解説
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日本史の教科書に登場する貴族の肖像画をよく見ると、多くの人物が細長い木の板を手にしています。これは「笏(しゃく)」と呼ばれるもの。アニメ『おじゃる丸』に登場する坂ノ上おじゃる丸が持つ板を思い出す人も多いでしょう。では、この笏は本来どんな役割を持っていたのでしょうか?
笏(しゃく)は儀式で使われた道具
笏は中国に由来する儀式用の道具で、日本でも朝廷の儀式に取り入れられました。現在のように「正装の一部」としての意味合いが強いですが、当初は実用的な目的を持っていました。
本来はカンニングペーパーの役割
儀式の進行は長く複雑で覚えるのが大変でした。そこで笏には式次第や必要な文言を紙に書いて貼り付け、確認できるようにしていたのです。つまり笏は「カンペ」としての役割を果たしていました。
やがて儀式の正装に欠かせないアイテムとなり、現在では居住まいを正す象徴的な意味合いのほうが強くなっています。
なぜ「しゃく」と呼ぶのか?
笏はもともと音読みで「コツ」と読みます。しかし「コツ」は「骨(ガイコツ)」と同じ発音で縁起が悪いとされました。
そこで笏の長さがおよそ一尺(約30cm)であったことから、「尺(しゃく)」の読みを借りて「しゃく」と呼ばれるようになったのです。
象牙の笏と木の笏
中国の制度では、身分の高い人は象牙製の「牙笏(げしゃく)」を、それ以外は木製の「木笏(もくしゃく)」を使うとされていました。
しかし日本では象牙の入手が難しかったため、ほとんどの場合は木製の笏が用いられました。木笏には、位階の「一位」に通じるイチイの木がよく使われたほか、桜や柊といった木材も用いられています。
現代の笏の使われ方
一般人が笏を見る機会はほとんどありませんが、現在も神職の正装として使われています。神社の重要な儀式に参列すると、実際に笏を手にした姿を見ることができます。
まとめ
- 笏はもともと儀式での「カンニングペーパー」として使われていた
- 「コツ」では縁起が悪いため「しゃく」と呼ばれるようになった
- 中国では象牙、日本では主に木製が使われた
- 現代では神職の正装として受け継がれている
神秘的な雰囲気を持つ笏ですが、その背景には合理的で実用的な歴史があります。