トランプのエース札でスペードだけ大きい理由とは?歴史と税金の関係を解説

トランプを遊ぶとき、ふと気づくのが「スペードのエースだけがやたらと大きい」こと。
他のスートのエースは普通のサイズなのに、どうしてスペードだけ特別なのでしょうか? その理由は、実は歴史的な「税金制度」にありました。
トランプは賭博の道具として広まった
トランプの起源には諸説ありますが、11〜13世紀頃に東洋からヨーロッパに伝わったとされています。その後、貴族や聖職者の間で流行し、やがて賭博の道具として盛んに利用されるようになりました。
政府や教会は度々禁止令を出しましたが、トランプの人気を抑えることはできませんでした。そこで登場したのが「課税」という仕組みです。
イギリスで始まったトランプ課税
17世紀のイギリスでは、戦費の調達や賭博の抑制を目的にトランプへの課税が導入されました。
当初はデッキの一番上にあるカード、つまりスペードのエースに小さなスタンプを押すことで「納税済み」の証としました。しかしこの仕組みは偽造が容易で、課税システムの信頼性が揺らぎました。
偽造防止のためにスペードのエースが特別に
1765年からは偽造を防ぐため、税務署が直接、大きくて複雑な模様を描いたスペードのエースを印刷する制度が始まりました。
模様は年を追うごとに複雑化し、豪華なデザインが特徴となっていきます。その後1862年には税率が引き下げられ、カードを偽造してまで税を逃れる必要がなくなったことで制度は廃止されました。
しかし、印刷業者はスペードのエースを元のシンプルな形に戻さず、独自のデザインを施した「特別なカード」として残したのです。
現代に残る「派手なスペードのエース」
こうして、税金制度の名残として生まれた「派手なスペードのエース」は、今も世界中のトランプに共通する伝統となりました。現在では各メーカーが独自のデザインを施し、トランプを象徴するカードとして印象づけられています。
日本にもあった「トランプ税」
実は日本でも「トランプ類税」という税が存在しました。トランプや花札といった遊戯用カードに課税されていましたが、1989年に消費税の導入とともに廃止されています。
時代が変わり、テレビゲームやスマホに娯楽が移った現代でも、たまに遊ぶトランプの中で「スペードのエース」が特別な存在であることを知ると、より一層楽しめるかもしれません。






