なぜ猫は箱に入りたがるのか?安心感と体温保持の意外な理由

猫を飼っている人なら、一度は「なぜそんな小さな箱に?」と思ったことがあるでしょう。
Amazonの段ボール、靴箱、洗濯かご……とにかく“箱”を見ると、猫は吸い込まれるように入っていきます。
実はこの行動には、猫の生態や心理に基づいた明確な理由があるのです。
猫にとって箱は「安心できる隠れ家」
猫は本来、単独行動を好む捕食動物です。
野生下では身を潜めて獲物を狙い、同時に自分の身を守る必要もあります。
そのため、狭い空間=外敵から身を守れる安全地帯として強く好む傾向があります。
箱に入ると、
- 四方を囲まれて敵が見えにくい
- 自分の気配を隠せる
- 外部刺激を遮断して落ち着ける
といった効果があり、猫にとって“心のセーフゾーン”になるのです。
このため、ストレスを感じている猫ほど、箱や狭い場所に入りたがる傾向が見られます。
体温を保つための「天然の保温空間」
猫の快適な体温はおよそ38〜39℃と、人間より高めです。
しかし室温が下がると体温を維持するために多くのエネルギーを使うため、
狭い箱の中に入ることで体温を逃がさず保つというメリットがあります。
段ボールのような素材は熱伝導率が低く、
外気を遮断して「簡易コタツ」のような効果を発揮します。
特に冬場は、暖かさと安心感を同時に得られる最高の空間といえるでしょう。
箱の中はストレス軽減の“メンタルシェルター”
2014年にオランダの大学で行われた研究によると、
シェルターに入った猫のうち「箱を与えたグループ」は、与えなかったグループに比べて
2倍以上早く環境に慣れ、ストレスホルモンが減少したと報告されています。
つまり、箱は猫にとって単なる遊び場ではなく、
不安やストレスを解消する「メンタルシェルター」として機能しているのです。
猫の本能と“ちょうどよさ”が引き寄せる箱の魅力
猫は、体がピッタリ収まるような狭い場所を選ぶ傾向があります。
これは“ちょうど収まる感覚”によって安心感が得られるため。
また、少しはみ出るようなサイズだと“ギリギリ入れる”挑戦心も刺激します。
さらに、箱の中では自分の匂いをつけやすく、
縄張り意識を満たす空間としての魅力もあります。
猫が箱に入って寝たり爪を立てたりするのは、
その箱を「自分のもの」として認識している証拠です。
まとめ:猫が箱を愛するのは「安心+ぬくもり+本能」
猫が箱を好む理由は、
- 外敵から身を守れる安心感
- 体温を保てる保温効果
- ストレスを和らげる心理的安定
- 自分の縄張りを確認できる安心本能
と、生き物としての本能と心理の両面が深く関係しています。
つまり、箱は猫にとっての「心と体の両方を満たす最高の隠れ家」なのです。