当サイトの収益&PV数公開中!
豆知識

なぜタイヤは黒いのか?カーボンブラックが生む強度と耐久性の秘密

mixtrivia_com

車でも自転車でも、タイヤといえば黒。
カラフルな車体に対して、タイヤだけはなぜか例外なく黒色です。
単なる慣習のように思えますが、実はこの黒さには耐久性と安全性を高める科学的な理由があります。

元々のタイヤは“白”だった?

意外かもしれませんが、タイヤが最初から黒かったわけではありません。
ゴム(天然ゴム)は本来、乳白色や淡いベージュ色をしています。
19世紀末〜20世紀初頭のタイヤは白っぽく、現在のような黒ではありませんでした。

では、なぜ黒くなったのか?
そのきっかけは、1910年代に導入された添加剤「カーボンブラック」の発見にあります。

黒の正体:カーボンブラックとは?

カーボンブラックとは、石油や天然ガスを不完全燃焼させて得られる微細な炭素粒子のこと。
これをゴムに混ぜることで、次のような性能が劇的に向上します。

  • 耐摩耗性の向上:摩擦に強く、すり減りにくい
  • 強度アップ:ゴム分子同士を補強し、変形や裂けにくくする
  • 紫外線(UV)カット:日光による劣化を防止
  • 放熱性の向上:摩擦熱を効率よく逃がす

つまり、黒は単なる色ではなく、機能そのものを示すサインなのです。

カーボンブラックが作る「強いタイヤ」

タイヤは走行中、常に道路との摩擦で熱と力を受けています。
その際にゴムが劣化すると、ヒビ割れや破損の原因になります。
カーボンブラックは、ゴム内部で補強材として働き、
分子レベルで骨格を支える役割を果たしています。

さらに、カーボンブラックの粒子が微細であるため、
摩擦で生じた熱を効率的に逃がし、タイヤの温度上昇を抑えることができます。
これにより、長距離走行でもゴムの変形が少なく、寿命が大幅に延びます。

黒には“紫外線防御”の効果も

日光に含まれる紫外線(UV)は、ゴムの分子結合を切断し、
時間とともにひび割れや硬化を引き起こします。
カーボンブラックはこの紫外線を吸収・分散する能力が高く、
天然のUVカット材として機能します。

そのため、屋外で長時間さらされるタイヤにとって、黒色はまさに理想の色なのです。

では、なぜカラフルなタイヤが作られないの?

実際、カーボンブラックを入れない「白タイヤ」「カラータイヤ」も存在します。
しかしそれらは、耐久性・価格・安全性の点で一般走行には不向きです。
特に自動車用タイヤでは、熱と摩擦が激しいため、
カラフルな着色材では耐久性が追いつきません。

一方、競技用や自転車・展示用ではデザイン目的でカラータイヤが使われることもありますが、
多くは寿命が短く、屋外使用に制限があります。

まとめ:黒は「性能の証」だった

タイヤが黒いのは、

  • カーボンブラックによる補強と耐摩耗性の向上
  • 紫外線防止による劣化防止
  • 放熱性の確保による安全性アップ

といった、実用面での最適解だからです。
黒は単なる色ではなく、走行性能と安全を支える機能色
その黒さこそが、100年以上続く“信頼の証”なのです。

記事URLをコピーしました