なぜコピー用紙はA4が主流なのか?国際規格と歴史が定めた“標準サイズ”の理由
 
										オフィスでも家庭でも、書類といえば「A4」。
履歴書、契約書、請求書──あらゆる紙がA4サイズで統一されています。
しかし、なぜA4が“標準サイズ”になったのでしょうか?
実はそこには、数学的な美しさと国際規格の流れが深く関係しているのです。
A4は「A判」シリーズのひとつ──国際規格ISO 216
A4用紙は「A判(エーばん)」と呼ばれるサイズ体系の中のひとつで、
国際的な規格 ISO 216 に基づいて定められています。
この規格では、用紙の縦横比を1:√2(約1:1.414)に統一。
A0を基準にして、面積を半分ずつにしていくことでA1、A2、A3、A4…と続きます。
| 名称 | サイズ(mm) | 面積の関係 | 
|---|---|---|
| A0 | 841 × 1189 | 約1㎡ | 
| A1 | 594 × 841 | A0の1/2 | 
| A2 | 420 × 594 | A0の1/4 | 
| A3 | 297 × 420 | A0の1/8 | 
| A4 | 210 × 297 | A0の1/16 | 
この「1:√2」の比率は、半分にしても同じ形を保つ唯一の長方形。
拡大・縮小コピーや印刷物のレイアウトを変えずに済むという、
極めて実用的な数学設計なのです。
「A4」が主流になった理由①:扱いやすいサイズ
A4(210×297mm)は、
人が手に取りやすく、持ち歩きやすく、ファイリングしやすいサイズです。
A3では大きすぎ、A5では小さすぎる──。
A4はそのちょうど中間であり、
- 書類を1ページに収めやすい
- 鞄に入れて持ち運べる
- コピー機やプリンタに適した用紙幅
 など、人間工学的にも機械設計的にも最適なサイズだったのです。
「A4」が主流になった理由②:戦後の国際規格統一
戦前の日本では、「美濃判」「菊判」「四六判」など独自の紙サイズが使われていました。
しかし、戦後の国際化・印刷技術の輸入により、
世界標準の ISO 216(A判) に合わせる流れが急速に進みました。
1950年代以降、
日本工業規格(JIS)もISO規格を採用し、JIS P 0138(A列用紙)を制定。
1970年代には官公庁・企業文書もA4に統一され、
ワープロ・コピー機・プリンタなどの周辺機器もA4対応で設計されるようになりました。
結果として、
「紙がA4だから、機械もA4対応」
「機械がA4対応だから、紙もA4を使う」
という標準化の連鎖が起こり、A4が完全に主流化したのです。
「レターサイズ」との違い──日本と海外の規格差
アメリカやカナダでは、今も「レターサイズ(216×279mm)」が主流です。
A4よりわずかに横長で縦が短いのが特徴。
これは、アメリカがISO規格制定以前から独自の製紙規格を持っていたためで、
いまでも官公文書や企業書類ではレター/リーガルサイズが使われ続けています。
ただし、グローバル企業や学術分野では
「国際標準に合わせる」動きが進んでおり、
A4対応への移行が少しずつ進行中です。
コピー・印刷機の普及が“決定打”だった
1970〜80年代にコピー機・プリンタが爆発的に普及した際、
それらのメーカー(特に日本の企業)が採用した基本フォーマットがA4でした。
A4で印刷することを前提に
- トナーの位置
- 紙送りローラーの幅
- トレイの容量
 などが設計されたため、A4が“機械の標準”として固定化されていったのです。
まとめ:A4は“人と機械の最適解”だった
コピー用紙がA4主流なのは、
- ISO規格に基づく数学的に合理的な比率
- 書類サイズとして扱いやすい寸法
- 国際規格・JISの統一政策
- コピー機・プリンタ設計との互換性
という歴史と実用の積み重ねによるものです。
A4とは、偶然ではなく、
「世界中で最も使いやすい紙」を求めた結果の到達点なのです。

 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											