なぜコンビニのレジ前にガムや電池があるのか?動線設計と衝動購買の心理戦略
 
										コンビニで会計を待っているとき、ふと目に入るレジ前のガム・電池・ライター・目薬。
「ついでに買おうかな」と思わせる絶妙な位置にありますよね。
実はこの並び方、人の行動心理と店舗動線設計に基づいた“戦略的配置”なのです。
この記事では、なぜコンビニのレジ前にこれらの商品があるのかを、心理・設計・売上効果の観点から解説します。
理由①:レジ前は“立ち止まる唯一の場所”
コンビニ店内でお客さんが確実に足を止める場所はレジ前だけです。
棚の間では通り過ぎるだけですが、レジ前では必ず数秒〜十数秒ほどの「待ち時間」が発生します。
その短い時間に視線が自然と向かう位置に、小さく・安価で・即決しやすい商品を置くことで、
「ついで買い(衝動購買)」を促すことができます。
- ガム・ミント:気分転換・口臭ケア
- 電池:思い出したタイミングで購入しやすい
- ライター:喫煙者が“ついでに”手に取る
- 目薬・リップ:季節や乾燥時期に即需要
このように、「すぐ必要になるが忘れがちな商品」が、レジ前のベストポジションを占めているのです。
理由②:“衝動購買”を引き出す心理的トリガー
レジ前の商品は、購買心理学でいう「衝動購買ゾーン」にあたります。
人は会計前の数秒で、
「これも買っておこう」
と無意識に判断しやすい状態になります。
これは「決済行動の直前=財布を出す準備中」だからです。
すでに“支払うモード”に入っているため、追加出費への心理的ハードルが下がるのです。
特にガムやキャンディーのように100円前後の小額商品は、
「買っても痛くない」「今欲しい」と思いやすく、即断即決型の購入が起きやすくなります。
理由③:動線設計と“右利き行動”の最適化
多くのコンビニでは、入り口から左回りに回遊し、右側にレジがある配置が主流です。
これは、右利きの人が多い日本では「右手で商品を取りやすい位置=視線が向きやすい位置」に
売りたい商品を置くという動線設計に基づいています。
つまり、
- 商品を取る手と支払いの手が一致する
- レジ台右側に置くと自然に視界に入る
 という合理的な心理設計になっているのです。
理由④:小型・高回転商品の“在庫効率”が良い
レジ前スペースは狭く、商品の入れ替えも頻繁です。
そのため置けるのは、
- 小型で陳列しやすい
- 利益率が高く、回転が早い
- 賞味期限が長い or 常温保管が可能
といった条件を満たす商品になります。
ガムや電池はまさにこの要件にぴったり。
在庫ロスを減らしつつ、高頻度でリピートされる“売れる小物”として最適なのです。
理由⑤:ガム=「会話の間を持たせる商品」
レジ前のガムにはもう一つの意味があります。
それは、会計中の「間」を埋めるための演出です。
会計待ちの数秒間、お客が目のやり場に困らないように視線を誘導することで、
- 店員と無言の時間を感じにくくなる
- 会計待ちが短く感じられる
 という心理的効果があります。
つまりガムは、「商品」であると同時に「空間の心理的緩衝材」でもあるのです。
理由⑥:電池・ライターは“忘れた時の救済商品”
電池やライターは、生活の中で「突然必要になるが、普段は意識しない」代表格。
レジ前にあることで、
「あ、そういえば電池切れてた!」
と思い出させるリマインダー効果を持ちます。
コンビニに来る目的が他の商品でも、
この「思い出し買い」で売上が増えるように設計されているのです。
まとめ:レジ前は“最後の商機”をつかむ設計ゾーン
コンビニのレジ前にガムや電池があるのは、
- 唯一立ち止まる場所に“即決商品”を置くため
- 支払い直前の心理を利用した“衝動購買戦略”
- 動線・利き手・在庫効率を最適化した設計
- 「思い出し買い」「待ち時間対策」などの心理演出
という、緻密な行動設計と心理学の応用によるものです。
つまり、レジ前は単なるスペースではなく、
「買う気が最も高まる瞬間」を最大限に活かす最終ステージ。
私たちが何気なく手に取るその一品も、コンビニのマーケティング戦略の一部なのです。

 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											