なぜ交番の屋根に“赤い球体”があるのか?夜間認識と法規定の裏にある理由
街角でひときわ目を引く、小さな交番の屋根の上にある赤い球体。
「何のために付いているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。
実はこの赤い球体には、夜間でも交番の位置をすぐに認識させる視認性向上策と、警察施設としての存在を示す記号的役割という2つの設計意図があります。
この記事では、その背景にある照明・安全・法規定の観点から解説します。
理由①:夜間・遠方からでも交番を“視認させる”ため
交番(警視庁管内では「KOBAN」など)には、昼夜を問わず地域住民や通行人が安心して相談・通報できるよう、容易に場所がわかることが重要です。
そのため、屋根の上に赤い球体や赤色灯を設けることで、
- 夜間や雨天・霧など視界が悪い条件でも「ここは交番だ」と認識できる
- 遠くからでも赤色の目印(球体)として識別しやすくなる
という視認性が向上します。
つまり、赤い球体は「目立たせる=安心の印」という役割を担っています。
理由②:警察施設として“標識的”な役割を果たすため
交番には「ただの小さな交番所」ではなく、地域の安全を守る拠点としての象徴性もあります。
赤い球体や赤色灯は、警察の施設であることを視覚的に示すサインマークとして機能しています。
この点は、一般の民間施設と明確に区別するための工夫でもあります。
理由③:法規定または設置指針と関係がある可能性
ただし、「赤い球体」が必ず法令で明文規定されているわけでは、明確には見つかっていません。
複数の資料では、交番の屋根に「赤色灯や赤色球」が設置されている旨が言及されています。 Japan Experience
このため、設置は警察庁・都道府県警察本部が出している「交番設置要領」「視認性向上基準」などの内部指針によるものと考えられます。
理由④:色・形選定が“目立ちやすさ”を優先している
赤色は昔から「注意・危険・緊急」を示す色として国際的にも広く使われています。
そのため、赤色を使うことで交番を見つけやすくなります。さらに、球体という形は:
- 角がなく滑らかで、遠くからでもシルエットが認識しやすい
- ライトアップされたときに影が出にくく、視認性が安定
というメリットもあると考えられます。
理由⑤:球体・赤色灯の“点滅・連動照明”との併用による効果
一部の交番では、屋根上の赤い球体に加えて「赤色回転灯」や「赤色LED」が設置され、夜間や早朝は点滅・強光表示されることがあります。
この点滅・明滅によって、住民や通行人の「ここに交番がある」という感知が強化されます。
視認性をさらに高めるための付随設備として、赤い球体が“常時視覚的目印”を担っているわけです。
理由⑥:地域文化・慣習の影響もある
交番屋根の赤い球体のルーツには、消防施設の赤い灯/ポリスカーの赤色灯の文化的影響があるとも言われています。
つまり、「赤色灯=警察・消防の印」という視覚コードが日本社会に定着しており、交番屋根の赤い球体もそのコードを継承していると考えられます。
まとめ:赤い球体は“安心と見つけやすさ”のための設計
交番の屋根にある赤い球体は、
- 夜間・悪条件でも交番を見つけやすくする視認性の工夫
- 警察施設としての標識的な印(サイン)
- 色・形・照明を組み合わせた住民サービスの一環
といった実用性と象徴性を兼ね備えたデザイン設計です。
つまり、あの小さな赤い球体は「単なる飾り」ではなく、
「ここは地域の安全を守る場所ですよ」という目印」なのです。
