なぜスポーツシューズの靴紐は平紐が主流なのか?結びの保持力
ランニングシューズやバスケットシューズなど、スポーツ用の靴を見ると「平紐」が多いことに気づきます。丸紐よりもやや幅広で、手に取ると柔らかく平たい形状。
なぜ、運動時に使うシューズではこの平紐が主流になっているのでしょうか。そこには、競技時の安全性と機能性を両立する設計の理由があります。
結び目がほどけにくい構造
平紐は、結んだときに摩擦面が広くなるため、ほどけにくいという特性があります。
丸紐は断面が小さく、摩擦抵抗が少ないため、一見締めやすい反面、動作の衝撃で結び目が緩みやすいのです。
特にランニングやジャンプなど足の動きが激しいスポーツでは、結び目の保持力が重要。試合中や走行中に靴紐がほどけると転倒やケガの原因にもなるため、「ほどけにくさ」は機能上欠かせません。
足の甲にかかる圧力を均等に分散
もうひとつの理由は、平紐が足の甲にかかる力を分散しやすい点です。
紐が平たいことで接地面積が広くなり、局所的な圧力を避けられます。これにより、長時間履いても痛みや締め付け感が少なく、快適に運動を続けられます。
丸紐だと細い部分にテンションが集中し、結ぶ力が強いほど足に食い込みやすくなります。
そのため、快適性と安定性の両方を求めるスポーツシューズでは、平紐のほうが合理的なのです。
見た目と扱いやすさのバランス
平紐は結んだ時に結び目がフラットに収まり、見た目にも安定感があります。
また、結び目の位置が動きにくく、余った部分も跳ねにくいため、プレー中の邪魔になりにくいというメリットも。
さらに、指でつまみやすく、素早く結び直しや調整がしやすいことも選ばれる理由です。特に競技中のタイムロスを避けたいアスリートにとっては、操作性も重要な要素になります。
まとめ
スポーツシューズの平紐は、
**「ほどけにくさ」「圧力分散」「操作性」**を兼ね備えた設計上の必然です。
見た目以上に、プレーの安全性とパフォーマンスを支える縁の下の力持ち。
平たい形には、しっかりとした“結び”の科学が隠されているのです。
