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豆知識

なぜ消火栓の蓋は“赤く塗られていない”のか?耐熱塗料と視認性の兼ね合い

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街中で見かける「消火栓」。建物の壁際にある赤いポール型のものを思い浮かべる人が多いですが、実は地面に埋まっているタイプの“地下式消火栓”もあります。
その蓋は、なぜか赤く塗られていません。危険や注意を示す色なら赤が定番なのに、なぜ黒やグレーばかりなのでしょうか?

高温に耐える「耐熱塗料」が限られている

消火栓の蓋は、鋳鉄製の重い金属でできています。
火災現場では周囲の温度が非常に高くなるため、塗装には高温でも変色・剥離しにくい塗料が使われます。
しかし、鮮やかな赤は熱に弱く、退色や焼けによる変質が起こりやすいのです。

黒やグレーなどの暗色系は、顔料の粒子が安定しており、耐熱・耐候性に優れています。
そのため、長期間屋外で使うインフラ設備には、熱と紫外線に強い落ち着いた色が採用されるのです。

歩行空間での「景観と安全」のバランス

消火栓の蓋は歩道や車道に設置されており、常に人や車が通る場所にあります。
もし赤く塗られていたら、景観上の違和感が大きく、都市設計の統一感を損ねてしまいます。

また、夜間や雨天では光を反射してかえって滑りやすく見えることもあるため、落ち着いた金属色の方が安全性が高いという判断もあります。
道路設計では「注意を促すもの」と「歩行の妨げになるもの」を分けており、地下式消火栓は“踏まれる設備”として地味な色に統一されているのです。

赤は“地上式”の消火栓のみに限定

赤色の消火栓は、主に地上に突き出している「地上式消火栓」に使われます。
これは消防隊がすぐに位置を特定できるようにするための識別色です。

一方、地下式のものは道路の下にあり、消防士は設置位置を「黄色い路面表示」や「消火栓マーク」で判断します。
つまり、蓋そのものを赤く塗る必要がないのです。視認性は、周囲の標識で確保されています。

まとめ

消火栓の蓋が赤くないのは、
耐熱性・耐久性・景観・安全性をすべて考慮した結果です。

赤は警告色として優れているものの、過酷な環境下では長持ちしません。
黒やグレーの落ち着いた蓋こそ、都市の中で静かに安全を支える“実用本位の設計”なのです。

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