なぜ電子レンジのターンテーブルは廃止されつつあるのか?マイクロ波分布の改善
以前の電子レンジといえば、ガラスの皿がくるくる回る「ターンテーブル式」が一般的でした。
しかし最近の新型モデルでは、皿が回らない“フラットタイプ”が主流になっています。
なぜ電子レンジからターンテーブルが消えつつあるのでしょうか? そこには、電波の制御技術の進歩が深く関係しています。
もともとターンテーブルは「ムラ」を補うための仕組み
電子レンジは、マイクロ波(2.45GHz前後)を食材に照射して加熱します。
しかし、内部のマイクロ波は壁や金属面で反射を繰り返すため、どうしても“強い場所”と“弱い場所”ができてしまいます。
これがいわゆる「温めムラ」です。
ターンテーブルは、この電波のムラを食材側が動いて平均化するための仕組みでした。
食べ物を回転させることで、温まりすぎる部分と温まりにくい部分が混ざり、結果的に全体を均一に加熱できるようにしていたのです。
最新モデルは「アンテナ側」が動く
近年の電子レンジでは、ターンテーブルの代わりにマイクロ波を送る側(アンテナ側)を動かす構造が主流になりました。
「ヘリカルアンテナ」や「モードステラー」と呼ばれる装置が庫内の電波を散乱・反射させ、まんべんなく行き渡らせます。
この方式では、皿を回さなくても電磁波が複雑に動き、結果として全体を均一に温めることが可能になります。
つまり、“食材を動かす”から“電波を動かす”へという発想の転換が行われたのです。
フラット構造で掃除・収納性も向上
ターンテーブルをなくすことで、庫内の底面がフラットになり、掃除がしやすくなりました。
食材をこぼしても溝や回転軸に入り込むことがなく、拭くだけで清潔を保てます。
さらに、庫内の形を広く使えるため、角型容器や大皿も入れやすくなりました。
家庭用だけでなく、業務用電子レンジでもこの構造が主流化しており、効率と衛生の両立が進んでいます。
まとめ
電子レンジのターンテーブルが廃止されているのは、
マイクロ波の分布制御技術が進化し、回転が不要になったからです。
食材を動かさず、電波を動かす時代へ。
フラット化は、機能・衛生・利便性をすべて向上させた、電子レンジ進化の象徴なのです。
