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豆知識

なぜ新幹線の車体は“長い鼻”をしているのか?トンネル圧と騒音低減

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近年の新幹線を見比べると、0系や200系の短い鼻から、E5系やN700Sのような細長い“ロングノーズ”へと変化しています。
なぜ新幹線の先頭部分はどんどん長くなっていったのでしょうか?
実はこの形状、速さだけでなく「空気」と「音」を制御するための緻密な設計によるものなのです。

トンネル突入時に生じる「圧力波」を抑えるため

高速列車がトンネルに突入すると、空気を押し込むことで圧縮波(トンネル圧)が発生します。
この圧縮波がトンネル出口で外気に放出されると、「ドン!」という
トンネルドン(マイクロバースト)と呼ばれる衝撃音を引き起こします。

初期の新幹線では、この現象が沿線騒音の大きな問題でした。
そこで先頭車両の形状を長く、滑らかにすることで、空気の圧縮を緩やかにし、圧力変化を時間的に分散させる工夫が導入されました。
つまり、長い鼻は「空気を押しのける時間を稼ぐ」ための構造なのです。

流体抵抗と騒音の低減

高速走行時、列車は前方の空気を圧縮して進みます。
先頭が短いと、空気が急激に押しつぶされて乱流が発生し、空気抵抗が増加します。
その結果、モーターの出力が余計に必要になり、騒音も増してしまいます。

しかし、長いノーズ形状では空気をゆっくりと横に逃がすことができ、流れが滑らかになります。
これにより、空気抵抗を減らしつつ、車体周囲の乱流音を抑えることができるのです。

E5系「はやぶさ」やN700Sなどの車両では、流体シミュレーションによって空気の“剥離点”まで計算し尽くされ、静かで燃費の良い形状が実現されています。

運転室配置と安全性の両立

ノーズが長くなると、運転室は車体中央寄りに配置されます。
これにより、万が一の衝突時に衝撃を吸収する空間(クラッシャブルゾーン)が確保でき、安全性の向上にもつながっています。

また、運転席がやや高い位置にあることで、トンネル突入時の視界確保や騒音軽減にも貢献しています。

まとめ

新幹線の鼻が長いのは、
トンネル突入時の圧力波・走行中の空気抵抗・安全性をすべて両立させるためです。

見た目の未来的なデザインは、副産物にすぎません。
その流線形の先端には、時速300kmの世界で静かに走るための空気との知恵比べが詰まっているのです。

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