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豆知識

なぜトウモロコシの粒が整列して並んでいるのか?成長とメルシェ構造

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トウモロコシの穂をよく見ると、黄色い粒がまるで格子のように整然と並んでいます。
1列1列がぴたりと揃い、どの粒も等間隔。自然の産物とは思えないほどの精密さです。
なぜトウモロコシの粒は、こんなにもきれいに整列しているのでしょうか?

1本の穂軸から放射状に配置される「雌花」

トウモロコシの粒は、実はそれぞれが1つの雌花(子房)です。
穂軸と呼ばれる芯の部分の周囲に、規則的に雌花が形成されていきます。
このとき、細胞分裂の方向と花芽の配置が数学的な規則に従うため、縦にも横にも等間隔のグリッド状に整列します。

この規則的な配列は、植物学では「メルシェ構造(meristem pattern)」と呼ばれ、茎や花の生長点で細胞が一定角度ごとに分裂・配置されることで生まれます。
トウモロコシの場合、花が360度方向に均等に生えるため、円周上で等間隔の列が形成され、粒が整列して見えるのです。

授粉の順序と成長タイミングの均一性

トウモロコシの粒は、上部の「雄花」から落ちる花粉をそれぞれの雌しべ(ヒゲ)が受け取って受粉することで成長します。
雌しべの長さや成長速度がほぼ均一なため、受粉タイミングもそろいやすく、粒が均等に膨らむのです。

もし一部の雌しべが受粉しなかった場合は、その場所だけ粒が欠けて「歯抜け」になります。
つまり、粒が整列しているのは「同じ構造で同じリズムで育っている証拠」でもあります。

遺伝的にも固定された「段数の法則」

トウモロコシの列(段)の数は、品種ごとにほぼ決まっています。
多くの品種では偶数列(例:14列、16列、18列)で、奇数になることはほとんどありません。
これは、穂軸の細胞が左右対称に分裂していくためで、発生学的にも偶数の方が安定構造を保ちやすいのです。

そのため、列の間隔・段数・粒の配置はすべて遺伝的プログラムによって制御されており、自然な個体差が出にくくなっています。

まとめ

トウモロコシの粒が整列して並ぶのは、
雌花の等間隔配置(メルシェ構造)・均一な授粉・遺伝的な段数制御の結果です。

自然が生み出した「植物界の幾何学アート」。
その規則正しい並びは、偶然ではなく、生命の成長メカニズムが描く精密なパターンなのです。

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