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豆知識

なぜ郵便ポストが“赤”になったのか?郵便制度と色彩心理

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街角で見かける郵便ポストといえば、やはり赤。
当たり前のように思えますが、なぜ赤なのでしょうか?
日本では昔から赤だったわけではなく、実は制度や心理効果を考慮した“実用的な選択”なのです。

明治初期は「黒」だった

日本で最初の郵便ポストが登場したのは明治4年(1871年)。
当時のポストはなんと黒色でした。
しかし、街灯も少なく夜間は見えにくかったため、郵便物を投函し損ねたり、盗難の対象になったりとトラブルが多発しました。

視認性の低さが問題となり、政府は「誰からでも見つけやすい色」に変更することを検討。
その結果、明治33年(1900年)に現在の赤色ポストが正式採用されることになりました。

「赤」は最も目立つ警告色

赤が選ばれた理由のひとつは、遠くからでも視認しやすい色だからです。
人間の目は波長の長い赤を強く感じ取りやすく、他の色よりも背景に埋もれにくい特性があります。

また、「赤=注意」「赤=緊急」という意味合いを持つ警告色でもあり、
道端に置かれていても「ここに大事な場所がある」と直感的に認識できる効果があります。

郵便ポストは生活インフラの一部であり、雨や霧の日でも見つけやすいことが求められたのです。

海外でも赤いポストが多い理由

実は、赤いポストの文化は日本独自ではありません。
もともとはイギリスのポストが赤で、これが各国に広まりました。
日本の郵便制度も明治初期にイギリスを参考に整備されたため、その影響を強く受けています。

特にイギリスの「ロイヤルメール」のポストが赤く塗られたのは1874年で、日本の赤色採用よりやや早い時期です。
視認性と統一感を重視する流れの中で、日本も国際郵便網に合わせた“赤の共通化”を進めたと考えられます。

現代では「安心・親しみ」の色として定着

今日では赤いポストは「郵便=赤」というイメージを定着させ、
社会インフラのシンボルとして安心感を与える存在になっています。
緊急性を感じさせながらも、どこか温かみを持つ赤色は、公共デザインとして極めて優秀な選択といえるでしょう。

まとめ

郵便ポストが赤いのは、
見つけやすさ・制度の標準化・心理的な安心感を兼ね備えた色だからです。

黒から赤へ――それは単なる色の変更ではなく、
郵便が“国民のインフラ”へと進化していく過程を象徴する、明治のデザイン革命だったのです。

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