なぜ朝起きてすぐは声が出にくいのか?声帯粘膜の水分量
朝、目が覚めて「おはよう」と言おうとしたとき、声が出にくかった経験はありませんか?一晩寝ただけなのに、声がかすれたり低くなったりするのはなぜなのでしょうか。そこには、声をつくる「声帯」の仕組みと、水分のバランスに関係する科学的な理由があります。
声が出る仕組みと声帯の役割
私たちの声は、喉にある**声帯(せいたい)**と呼ばれる2枚のヒダの振動によって生まれます。空気が肺から押し出されると、このヒダが閉じたり開いたりして音が生まれます。
しかし、声帯は単なる筋肉のヒダではなく、表面に粘膜をまとった非常にデリケートな構造です。この粘膜が乾燥したり腫れたりすると、振動がスムーズに起きず、声が出にくくなってしまいます。
寝ている間に声帯が乾く理由
眠っている間、私たちは口呼吸になりやすく、また唾液の分泌量も減少します。そのため、声帯粘膜の水分が失われやすい状態になります。
さらに睡眠中は空気の流れも少なく、湿度が一定になりにくいため、声帯表面の潤いが保たれません。結果として、朝起きた直後は「声帯が乾いたスポンジ」のような状態になっており、うまく振動しないのです。
水分不足が声の出にくさを招く
声帯はわずかな水分量の変化でも影響を受けます。研究によると、声帯の粘膜層に含まれる水分量が減ると、振動させるために必要な力(呼気圧)が大きくなり、声が出にくく・かすれやすくなることが確認されています。
つまり、朝の声の出にくさは、単なる「寝起きのだるさ」ではなく、声帯粘膜の乾燥による機械的な問題なのです。
朝の声をスムーズに出すには
声を出しやすくするには、まず体内と喉の水分補給が重要です。起きてすぐコップ1杯の水を飲むだけでも、声帯の潤いが戻りやすくなります。
また、急に大声を出すのではなく、軽くハミングや口を閉じて声を出すなど、声帯を徐々に温めることも効果的です。加湿器を使ったり、鼻呼吸を意識することも声の保湿につながります。
まとめ
朝起きて声が出にくいのは、寝ている間に乾燥した声帯粘膜の水分不足が原因です。
声帯は繊細な器官であり、わずかな乾燥でも機能が低下します。起床後はまず水分をとり、少しずつ声を出して“ウォーミングアップ”をすることで、一日のスタートを気持ちよく切ることができます。
