なぜボトルの肩部分が丸いのか?充填圧と割れ防止の設計
ペットボトルやガラス瓶をよく見ると、胴体と口の間に「丸くカーブした肩」のような部分があります。なぜ直線ではなく、わざわざ丸みを持たせているのでしょうか?
実はこの形状、見た目のデザインではなく、圧力と強度のバランスをとるための重要な設計要素なのです。
丸い肩が圧力を分散させる
液体をボトルに充填するとき、中には空気や液体の圧力が一気にかかります。もしこのとき、口と胴体の境目が直角だったら、その角に力が集中してしまい、ひび割れや破損の原因になります。
丸みを持たせることで、力がなめらかに分散され、ボトル全体に均等に広がるようになるのです。
特に炭酸飲料など内部圧力が高いボトルでは、この“肩の丸み”が強度維持の鍵を握っています。
ガラス瓶時代から受け継がれた構造
この設計思想は、実はペットボトルよりも古いガラス瓶の時代から続いています。
ガラスは硬い反面、衝撃や局所的な圧力には弱いという特徴があります。そのため、角のない滑らかな形状にすることで、製造時の内部応力の集中を防ぎ、割れにくくする工夫がされていたのです。
現代のペットボトルも同じ原理を応用しており、成形時の樹脂の流れをスムーズにする意味でも、肩の丸みは欠かせません。
液体の流れをスムーズにする効果も
丸い肩は、ボトルを傾けて中身を注ぐときにも役立っています。
液体が角にぶつかって乱れると「ドバッ」と一気に出てしまうことがありますが、丸い曲線なら流れが一定になり、注ぎやすく・こぼれにくいのです。
つまり、力学的な理由だけでなく、使いやすさの面でも合理的な形なのです。
製造とリサイクルの観点からも理にかなう
ペットボトルの成形工程では、加熱した樹脂を金型に吹き込んで作ります。角があると樹脂が行き渡りにくく、厚みのムラができてしまいます。
その点、丸みを帯びた形なら均一に膨らみやすく、薄くても強度を保てる軽量設計が可能になります。リサイクルの際も、均一な厚さのほうが再溶融しやすいという利点があります。
まとめ
ボトルの肩部分が丸いのは、圧力を分散させて割れを防ぐための構造設計です。
さらに、液体の流れを滑らかにし、製造の効率やリサイクル性まで考えられた合理的な形状でもあります。
私たちが何気なく手に取るそのボトルにも、物理と工学の知恵がぎっしり詰まっているのです。
