消えゆくネット黎明期の足跡――無料ホームページ11件終了とネット文化の喪失

2025年6月30日、FC2WEBをはじめとする11の無料ホームページサービスが一斉に終了する予定です。
これにより、2000年代を中心に公開されていた個人ホームページの多くが消滅の危機に瀕しています。これらのサイトは、アニメ・ゲーム・同人活動といったネットカルチャーの重要な拠点であり、単なる情報の集積以上に、「当時の空気」を反映するデジタル文化遺産でもありました。
特にFC2WEBは、無料で1GBの大容量スペース、.htaccessの無料利用可など、当時の個人クリエイターにとって貴重な発信環境でした。現在も更新されていない「静的コンテンツ」が多数残されており、まさに“デジタルのタイムカプセル”と化しています。
今回終了予定の11サービス
・FC2WEB
・55 STREET
・Easter
・Finito Web
・OJIJI.net
・Zero-yen.com
・k-free.net
・GOOSIDE
・KATOWEB
・ZERO-CITY.com
・K-Server
いずれも1990年代後半~2000年代前半にかけて個人の情報発信を支えた存在でした。
サイト閉鎖で420万件以上のウェブページが消滅へ
今回終了が発表された11サイトでは、合計420万件以上のWebページがホストされており、その多くは5年以上更新されていないものです。これらのサイトには、日記、創作作品、イラスト、二次創作、相互リンクの記録など、個人の創作・交流・記録が詰め込まれています。
こうしたホームページ群の最大の特徴は、SNS以前の「自発的な情報発信の場」だったことです。TwitterやInstagramとは異なり、アクセス解析もなければ、バズもなく、「ただ作りたいから作る」動機によって支えられた場所でした。その多くが、これから誰の目にも触れられずに消滅しようとしています。
アーカイブ保存の限界と、今できる対応策
Wayback Machineのようなアーカイブ機関に頼るだけでは不十分です。実際、Wayback Machineによる保存では画像の3割が欠損し、JavaScript依存のページの83%は正常に表示されないなど、再現性の問題があります。さらに、アーカイブ自体が“単一障害点(SPOF)”となっており、仮に停止すればすべてが失われるリスクを抱えています。
すべてを保存するのは難しいものの、「個人でもできる限りの保存を行う」ことは可能です。具体的には、自分がよく訪れたサイトや思い入れのあるページを、手作業でも保存しておくことが推奨されます。
個人でできることは限られていますが、それでもやらないよりはましです。少しでも多くの文化遺産を継承するために、今からでも少しずつ行動していきましょう。





