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豆知識

なぜ銀河は渦巻き構造をしているのか?重力と運動量保存が生む宇宙のデザイン

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夜空に浮かぶ渦巻銀河――その美しい形はまるで“宇宙の花”のよう。
しかし、なぜ銀河は渦を巻くような形をしているのでしょうか?
これは偶然ではなく、重力と運動量保存の法則が生み出した必然的な結果なのです。
この記事では、銀河が渦巻く理由を、宇宙の力学と進化の視点からわかりやすく解説します。

銀河とは ― 星々の巨大な集まり

まず、銀河とは数千億もの恒星・ガス・塵・暗黒物質(ダークマター)からなる巨大な構造体です。
太陽系が属する「天の川銀河」も、直径約10万光年・星の数は約2000億個とされています。

銀河にはいくつかの形がありますが、代表的なのは👇

  • 渦巻銀河(スパイラル銀河)
  • 楕円銀河
  • 不規則銀河

中でも渦巻銀河は、中心から外へ伸びる螺旋状の腕(スパイラルアーム)が特徴的で、多くの若い星がここで誕生しています。

銀河が渦を巻く理由①:運動量保存の法則

宇宙の始まりでは、ガスや塵がほぼランダムに漂っていました。
やがて重力によって少しずつ集まり、一つの大きな回転体(銀河の原型)を形成します。

このとき働くのが「運動量保存の法則」です。
物体が回転を始めると、外から力が加わらない限り、その回転運動は維持されます。

つまり、

  • ガスの雲が重力で収縮すると、自転速度が上がる(フィギュアスケートのスピンと同じ原理)
  • 回転しながら平べったい円盤状になる
  • その中で星やガスが一定の方向に回り続ける

こうして、円盤銀河の基本構造が生まれます。

銀河が渦を巻く理由②:重力による「密度波」

では、なぜ“ただの円盤”ではなく“渦巻き”になるのでしょうか?
ここで重要なのが「密度波理論(density wave theory)」です。

銀河の中では、星々やガス雲が互いに重力を及ぼし合い、
その結果、濃い部分(密度の高い領域)と薄い部分(密度の低い領域)が周期的に現れます。

この“濃い部分”がゆっくりと銀河の中を回転しながら波のように伝わるため、
星がそこを通過するたびに一時的に集まり、螺旋状の模様が浮かび上がるのです。

つまり、渦巻きの「腕」は“星の集団が動いている線”ではなく、
密度の高い波の通り道なのです。

銀河の渦は“流れる模様”

この密度波は、観覧車の座席と人の関係に似ています。

  • 観覧車の座席(=密度波)は一定の速度で回っている
  • そこに人(=星)が乗り降りしながら位置を変える

このように、個々の星は渦の腕に“とどまっている”わけではなく、
腕を通り抜けながら、自身も回転運動を続けています。

それでも腕の形が保たれて見えるのは、密度波が常に形成され続けているためです。

銀河が渦を維持できるもう一つの要素:ダークマター

銀河の回転速度を観測すると、外側の星も内側とほぼ同じ速さで回っていることがわかっています。
これは通常の重力計算では説明できず、見えない質量=ダークマター(暗黒物質)の存在が仮定されています。

ダークマターの重力が銀河全体を引き留め、

  • 星々が外に飛び出すのを防ぎ
  • 渦巻き構造が崩れないよう安定させている

と考えられています。

渦巻銀河は「星の誕生工場」

渦の腕の部分では、ガスや塵が密集して新しい星が次々と誕生しています。
腕が明るく輝いて見えるのは、そこで生まれた若く青い星々が多く集まっているからです。

つまり、銀河の渦は単なる模様ではなく、
星の誕生が繰り返される“生命のサイクル”を示す構造でもあるのです。

まとめ:銀河の渦は宇宙の“力の記録”

銀河が渦巻くのは、

  • 運動量保存によって生まれる回転構造
  • 重力の相互作用が作る密度波
  • ダークマターが支える安定構造

これらが組み合わさった結果です。

つまり、銀河の渦は――
「宇宙の力学が描いた永遠のスパイラル」なのです。
その形の中には、重力・運動・誕生・死といった宇宙のすべてのドラマが刻まれています。

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