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豆知識

なぜ貸し会議室の椅子は肘掛けなしが多いのか?収容効率と避難通路幅

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貸し会議室やセミナールームで見かける椅子は、肘掛けのないシンプルなタイプが多いですよね。
長時間座るには少し物足りない気もしますが、なぜあえて肘掛けを省いているのでしょうか?
そこには、収容効率と安全基準を両立させるための合理的な理由があるのです。

肘掛けをなくすことで“席数を最大化”

貸し会議室の主な目的は、限られた空間にできるだけ多くの人を収容することです。
肘掛けがあると椅子の横幅が10cm以上広がり、1列あたりに置ける椅子の数が減ってしまいます。

例えば、横幅45cmの肘掛けなし椅子なら10脚並べられるスペースでも、
肘掛け付き(幅55cm)にすると9脚しか置けません。
1脚分の差はわずかでも、100人規模の会場では定員が10人以上変わることになります。

会議室を貸し出す運営側にとっては、収容人数は料金設定に直結するため、
1人でも多く座れる=収益効率が上がるという明確な経済的メリットがあるのです。

避難通路幅の確保が法律で義務付けられている

消防法および建築基準法では、会議室や講堂などの不特定多数が集まる施設について、
**「通路幅を一定以上確保すること」**が定められています。

たとえば、

  • 50人以下の会場:通路幅60cm以上
  • 100人以上の会場:通路幅75cm以上
  • 300人以上の大会場:通路幅90cm以上

この基準を満たすには、椅子を密集させすぎないよう横幅をコンパクトに抑える必要があります。
肘掛けを外すことで、通路の確保と定員数を両立させているのです。

連結設置や片付け作業の効率化

肘掛けがない椅子は、軽量でスタッキング(積み重ね)しやすいという利点もあります。
貸し会議室はイベントごとにレイアウトを変えるため、
「並べる」「片付ける」「移動する」といった作業を短時間で行う必要があります。

肘掛け付きだとスタッキング時に干渉したり、重くて運びづらくなったりするため、
設営スタッフの負担が増大します。
肘掛けなしはその点、収納効率と作業効率の両方が優れているのです。

多様な利用シーンに対応しやすい

貸し会議室は、会議・セミナー・試験・面接など、用途が日々変わります。
肘掛け付きの椅子はくつろぐ用途には向いていますが、
試験や研修では姿勢保持や机の出入りがしづらいというデメリットがあります。

肘掛けなしなら、

  • 出入りしやすい
  • 隣との距離が自由に調整できる
  • テーブルを共有しやすい
    といった柔軟性があり、あらゆる用途に対応できる汎用設計になるのです。

コスト面でも大きな差

肘掛け部分には樹脂や金属パーツが必要なため、
同型の椅子でも1脚あたり数千円の価格差が生じます。
大量に導入する貸し会議室では、
100脚単位での購入コストを考えると数十万円規模のコスト差になります。

設備投資を抑えつつ維持管理を容易にするうえでも、
肘掛けなしタイプが選ばれやすいのです。

まとめ

貸し会議室の椅子に肘掛けが少ないのは、
収容人数・避難通路・設営効率・コストといった現実的な条件を最適化した結果です。
見た目はシンプルでも、
その設計は「多くの人を安全に・快適に座らせる」ための合理的な公共空間デザイン
肘掛けのないその形こそが、運用と安全のバランスを突き詰めた最適解なのです。

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