なぜアメリカの学校は9月スタート?世界と日本の学年開始月の違いを解説

9月に入り、高校生以下の生徒は新学期が始まった頃かと思います。一方で、大学生はまだ夏休み中の人も多いでしょう。
さて、日本では「2学期のスタート」に過ぎないこの時期、アメリカなどでは“新年度”の始まりにあたります。
そう、アメリカの学校では9月が学年のスタートなのです。
では、日本が4月始まり、アメリカが9月始まりという違いは、どこから来たのでしょうか?
学年のスタート月は国によってバラバラ
「海外=9月スタート」というイメージがありますが、世界全体を見てみると、実はさまざまな学年開始月が存在しています。以下に一部の国と大学の例を紹介します。
- ハーバード大学(アメリカ):9月
- パリ大学(フランス):9月
- 北京大学(中国):9月
- ソウル大学(韓国):3月
- シンガポール国立大学:8月
- インド工科大学デリー校:7月
- サンパウロ大学(ブラジル):2月
- シドニー大学(オーストラリア):3月
※国や教育機関によって、小中学校と大学で異なるケースもあります。
このように、9月スタートが主流なのは主に欧米。韓国やオーストラリアのように3月スタートの国もあり、南半球では2~3月始まりが多い傾向です。インドでは酷暑を避けて、7月スタートが主流とされています。
アメリカやヨーロッパが9月スタートの理由
欧米で学年が9月スタートになった背景には、農業のスケジュールがあると考えられています。
伝統的に、ヨーロッパでは夏の7~8月が農作業の最盛期です。たとえば、秋に種をまいた冬小麦の収穫は夏に行われ、牧草を刈って干し草を作るのも夏が中心。
このため、子どもたちも家の農作業を手伝う必要があったわけです。
そこで政府は、なるべく多くの子どもが学校に通えるよう、農作業が落ち着く9月に新学年を開始する制度を整えていきました。
こうして始まった9月スタートが、今も欧米諸国で定着しているのです。
日本が4月スタートになった理由
実は、日本でもかつては欧米に合わせて9月入学だったことをご存じですか?
1872年、明治政府が「学制」を制定した際には、アメリカから招いた教師などの影響を受け、9月スタートが採用されていました。
ところが、1886年に官公庁の会計年度が4月始まりに統一されると、学校や企業の年度もそれに合わせて変更されるようになりました。
1921年には制度として正式に4月スタートが定着。現在の学校年度の形が確立されたのです。
ちなみに、なぜ会計年度が4月始まりなのかははっきりしておらず、「税収の都合」などいくつかの説があるようです。
学年開始を変えるべき?
近年では「日本も9月スタートにすべきではないか」という議論もあります。
たとえば国際的な大学間の連携や留学生の受け入れなどを考えると、欧米との学年のズレは確かにネックになります。
しかし、学年の切り替えに合わせた受験や入社などのスケジュール、季節感に根ざした学校行事など、日本独自の文化との関係性も深く、一筋縄ではいかない議題でもあります。
今、学校に通っている皆さんにとっても、このような背景を知ったうえで「もし制度が変わったら何が変わるのか?」と考えてみると面白いかもしれませんね。






