「英語には敬語がない」は本当?英語における丁寧表現をわかりやすく解説

「日本語は敬語があるから外国人にとって難しい」「英語には敬語がないからシンプルだ」――こんなふうに言われるのを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
中学や高校の授業でも、「英語には日本語のような敬語は存在しない」と教わった人は少なくないでしょう。
しかし、たとえば「〜してくれませんか?」という依頼表現に、“Can you~?”と“Could you~?”の両方があり、後者のほうが丁寧だとされているのはなぜでしょうか?
ここでは、「英語に敬語はない」という話が本当なのかについて、わかりやすく整理してみましょう。
英語に「敬語」という文法システムはない
結論から言うと、英語には日本語のように「敬語」が文法として確立されているわけではありません。
日本語では「謙譲語」「尊敬語」「丁寧語」といった分類があり、それぞれの使い分けが文法的に明確になっています。
たとえば「言う」という動詞を、「おっしゃる」「申し上げる」と言い換えることで、相手との関係性に応じた敬意を表すことができます。
これに対して英語では、「敬語」として体系化された文法や単語の置き換えは存在しません。
「say」を「respectfully say」などと置き換えるような直接的な表現も基本的にはありません。
英語には「丁寧な言い回し」がある
とはいえ、英語に丁寧な言い方そのものがないわけではありません。
たとえば:
- “Can you help me?” よりも → “Could you help me?”
- “Do you have time?” よりも → “Would you happen to have a moment?”
- “Give me a minute.” よりも → “Could you give me just a minute, please?”
このように、助動詞を過去形にする・クッション言葉を加える・丁寧な構文を使うことで、相手に対する配慮や遠回しな表現ができます。
最も丁寧な依頼の一例としてよく紹介されるのが
Would you mind if I asked ~?
(〜とお願いしてもご迷惑でなければ…)
という構文です。直接的な表現を避けることで、相手に「選択の余地」を与える言い回しになっています。
英語の丁寧さはこのように、言葉の選び方や構文の工夫によって表現されるのです。
敬語ではなく“距離感の調整”としての表現
英語の丁寧表現は、日本語のように“上下関係”や“身分差”を前提としたものではなく、相手との距離感を調整するためのツールとして使われます。
- 友人にはストレートに「Can you~?」
- 上司や初対面の人には「Could you~?」や「Would you mind~?」
といった使い分けが一般的です。
このため、日本語の敬語に比べて形式的なルールは少ない分、文化的・心理的な判断が必要になる場面も多くあります。
ビジネスや旅行でも意識しておきたい
海外出張や英語でのメール、旅行中のやりとりなどでは、こうした丁寧な英語表現が役立ちます。
シンプルな単語で伝えるのももちろんOKですが、丁寧な表現を使うことでより円滑なコミュニケーションや好印象につながる場面もあるでしょう。
- Could you possibly〜?
- Would it be alright if〜?
- I was wondering if〜
など、いくつかのフレーズを覚えておくと安心です。
敬語はないけれど、気づかいの表現はある
英語に日本語のような文法的な「敬語」はありません。
しかし、助動詞や婉曲表現、語尾に “please” を添えるなど、丁寧さや配慮を伝える工夫は豊富に存在しています。
形式よりも「相手を思いやる気持ち」が表現の中核になるのが、英語らしい特徴とも言えるでしょう。








