なぜ涙はしょっぱいのか?涙の成分と生理的な理由をわかりやすく解説

悲しいとき、うれしいとき、思わずこぼれる涙。
その涙をなめてみると、しょっぱい味がしますよね。
でも、なぜ涙はしょっぱいのでしょうか?
実は、涙の味には体の生理的な仕組みと、心の働きの両方が関係しています。
この記事では、涙の成分や役割、そして感情と涙の不思議な関係を解説します。
涙の正体は「塩を含んだ体液」
涙は、目の外側にある「涙腺(るいせん)」から分泌される液体で、主な成分は水分と塩分(塩化ナトリウム)です。
つまり、涙は体の一部――血液や汗に近い“体液の一種”なんです。
この塩分のおかげで涙はしょっぱく感じます。
塩分の濃度はおよそ0.9%で、これは生理食塩水とほぼ同じ。
目の表面を守るために、体内の水分バランスと等しい濃度で保たれているのです。
涙の役割は「目の保護」だけじゃない
涙には、単なる感情表現以上に重要な生理的役割があります。
主な働きは次の3つです。
- 目の乾燥を防ぐ:常に薄い涙の膜で目を覆い、乾燥や刺激から守る
- 異物を洗い流す:ホコリや花粉などを外へ流し出す
- 殺菌・抗菌作用:リゾチームという酵素が細菌を分解し、感染を防ぐ
つまり、涙は「目の健康を守る天然の保湿液兼洗浄液」なのです。
涙には3種類ある!
実は涙には、出るきっかけによって3つのタイプがあります。
種類 | 主な原因 | 特徴 |
---|---|---|
基礎分泌涙 | 目の保護・潤い維持 | 常に少量出ている |
反射性の涙 | 玉ねぎ・風・ホコリなどの刺激 | 防御反応として大量に出る |
情動性の涙 | 悲しみ・感動・怒りなど | 感情に伴って出る |
このうち、私たちが“しょっぱさ”を強く感じるのは、感情の涙です。
なぜなら、情動性の涙にはストレスホルモンなどが多く含まれており、体の内側の成分がより反映されるためです。
涙がしょっぱいのは「体の塩分バランス」を保つため
人間の体液は、常に一定の塩分濃度(約0.9%)に保たれています。
これは、細胞の水分が外に逃げたり、逆に吸い取られたりしないための重要な仕組み。
涙も例外ではなく、目の表面の細胞を守るために、体液と同じ塩分濃度に調整されているのです。
もし涙が真水だったら、目の細胞から水分がにじみ出してしまい、痛みやダメージを引き起こします。
つまり、「しょっぱさ」は目を守るための自然なバランスの証なのです。
泣いたあとスッキリする理由 ― 涙と感情の関係
感情的な涙(情動性の涙)には、ストレスホルモンやアドレナリンなどが含まれています。
泣くことでそれらが体外へ排出され、心が落ち着く効果があるといわれています。
実際、心理学の研究でも「涙を流すことでストレスが緩和される」ことが確認されています。
つまり、涙は単なる感情表現ではなく、心のデトックスでもあるのです。
まとめ:涙のしょっぱさは“体の知恵”
涙がしょっぱいのは――
- 成分に塩分(塩化ナトリウム)が含まれているから
- 体液の塩分濃度を保ち、目を守るため
- 感情の涙にはホルモン成分が混ざるため
という生理的・心理的な理由によるものです。
私たちの涙は、体を守り、心を癒す自然の仕組み。
その“しょっぱさ”には、人間らしさと生命の知恵が詰まっているのです。