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豆知識

なぜペットボトルのキャップは“28mm径”で統一されているのか?国際規格とねじピッチ

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水・お茶・ジュース・炭酸飲料――。
ほとんどのペットボトルを見比べても、キャップのサイズは同じように見えます。
実はそれ、偶然ではなく**「28mm」という国際規格**で統一されているのです。
なぜこの数値なのか?その裏には、人間工学・製造効率・世界流通が密接に関わっています。

“28mm”は人の手で最も開けやすいサイズ

キャップ径28mmという数値は、実は人の指の動作を基準に決められています。
成人の親指と人差し指で無理なくつまめる最小限の径が約25〜30mm。
これより小さいと力をかけづらく、大きいとつまみにくくなるため、
28mm前後が開閉トルクと握りやすさの最適点なのです。

特に炭酸飲料などでは内圧が高く、
安全に開けるには一定のねじトルクが必要。
そのバランスを人間の握力で確実に再現できるのが28mm径でした。

“ねじピッチ”も国際規格で統一されている

キャップは単に径だけでなく、ねじの角度・深さ・間隔まで細かく規定されています。
ペットボトル業界で採用されているのは、
**「PCO 1810」や「PCO 1881」**と呼ばれる国際標準規格です。

  • PCO 1810:旧型(やや高いキャップ、高強度)
  • PCO 1881:現行主流(軽量・省資源タイプ)

いずれもねじピッチは**3.18mm(約1/8インチ)**で統一されており、
メーカーや国が異なっても互換性を保てる設計になっています。
これにより、ボトルとキャップを別工場で生産しても組み合わせ可能という
サプライチェーン上の大きなメリットが生まれました。

炭酸・非炭酸の両方に対応する“万能口径”

炭酸飲料のボトルは内部圧力が高いため、
キャップ部に強い耐圧性が求められます。
一方で水やお茶などの非炭酸飲料では軽量化が優先されます。

28mm径は、この両方に対応できる密封性能と構造強度のバランス点
密閉時のねじ山のかみ合わせ角度やガスケットの圧縮具合を最適化できるため、
1つの設計で幅広い用途をカバーできるのです。

グローバル流通の“共通言語”

世界中でペットボトルが流通する現在、
異なる国・メーカー間で容器とキャップが共通規格で作られていることは
物流・コスト・環境負荷の削減に直結します。

例えば、日本の飲料メーカーが海外生産を委託しても、
28mm規格なら既存の設備やキャップ金型をそのまま利用可能。
統一規格は、グローバル供給網の互換性を保証する仕組みでもあるのです。

“軽量化”を進めるための工業的合理性

初期のペットボトルキャップ(PCO 1810)は高さ約21mmで、
キャップ重量も3g以上ありました。
その後、材料削減とリサイクル性向上を目的に改良され、
現在のPCO 1881規格では高さ約17mm・重量1.8g前後にまで軽量化。

それでもねじ径28mmは維持されたままで、
既存の充填機械・キャッピング装置との互換性を保ちながら
製造コストを抑える共通インフラとして活用されています。

“誤飲防止”にもつながる人間工学的配慮

28mmというサイズは、幼児が丸ごと飲み込めない径としても安全です。
乳幼児の気道閉塞リスクを考慮すると、
誤飲防止の観点からもこれより小さいキャップは危険とされています。
このため、安全規格上も28mm前後が理想的な大きさとして国際的に定着しました。

まとめ:28mmは“世界をつなぐねじの寸法”

ペットボトルのキャップが28mm径で統一されている理由を整理すると、次の通りです。

  • 人の手で最も開けやすいサイズだから
  • 炭酸・非炭酸の両方に適した密封構造
  • PCO(Plastic Closure Only)規格により国際的に標準化
  • 製造設備・物流コストを共通化できる
  • 軽量化・安全性・互換性を両立できる

つまり28mmは、**人間と産業の双方に最適化された“世界共通のねじ径”**なのです。
どんな国のペットボトルでも、キャップを回せば同じ手触りで開く――
その当たり前の裏には、見えない国際規格の設計哲学が息づいているのです。

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