なぜポイントカードは“バーコード型”が多いのか?ICカードとの違いと運用コストの関係
 
										コンビニやドラッグストアなどで渡されるポイントカードの多くは、裏面にバーコードが印刷された“スキャン式”。
最近はICチップ搭載のカードやスマホアプリ型も増えていますが、いまだにバーコード型が主流です。
なぜ、技術的に古いと思われがちなバーコード式がここまで広く使われているのでしょうか?
そこには、コスト・互換性・運用のしやすさという現実的な理由があります。
バーコード型の仕組み:単純な“識別番号”の読み取り
バーコード式のポイントカードは、黒と白の縞模様(バーコード)に会員番号を符号化したものです。
店舗側はPOSレジのスキャナでこれを読み取り、サーバー上の会員データと照合してポイントを加算・利用します。
つまり、カード自体には個人情報や残高は記録されておらず、「ただの会員IDの印刷物」にすぎません。
この単純さこそが、導入コストを極めて低く抑える最大の理由です。
ICカードとの違い:情報を“記録できるかどうか”
ICカード型(Suica・nanaco・WAONなど)は、カード内にチップを内蔵し、残高や利用履歴を直接書き込み・読み出しできます。
一方でバーコード型は、あくまで会員IDを読み取るだけ。データ処理はすべてサーバー側で行われます。
この違いにより、
- IC型:高機能だが、カード1枚あたりの製造・管理コストが高い(数百円〜)
- バーコード型:印刷のみで発行でき、1枚数円で済む
というコスト差が生じます。
特に来店頻度の低い顧客や短期キャンペーンでは、安価なバーコード型の方が圧倒的に採算が取れるのです。
バーコード型が主流の理由①:POSレジとの互換性が高い
多くの小売チェーンでは、すでにバーコードスキャナを内蔵したPOSレジが標準装備されています。
新しいリーダー機を導入せずにそのまま運用できるため、設備投資が不要です。
ICリーダーを追加すると、
- ハードウェアの更新費
- 認証システムとの連携開発
- スタッフ教育
などのコストが発生します。
既存の仕組みを活かせるバーコード方式は、最も低リスクで導入できる選択肢なのです。
バーコード型が主流の理由②:発行・再発行が容易
バーコードカードは、紛失時でも番号を再印刷するだけで再発行できます。
複雑な暗号鍵やチップの設定が不要で、顧客情報はサーバー側で管理されているため、本人確認さえできればすぐに再登録が可能です。
キャンペーンやイベントなどでも、
「来店特典カードをその場で配る」「印刷物にバーコードを付ける」
といった柔軟な運用ができるのも大きな利点です。
バーコード型が主流の理由③:アプリ化との親和性
最近では、バーコード型ポイントカードをスマホアプリに統合するケースが増えています。
アプリの画面にバーコードを表示すれば、既存のPOSスキャナでそのまま読み取れるため、ハードウェア変更が不要です。
一方、ICカード型をアプリに移行するには、NFC通信やセキュア領域の確保など技術的ハードルが高く、
Android・iPhone間の仕様差も問題になります。
バーコード型なら、カメラやスキャナで読めるためプラットフォーム非依存で展開でき、全国的なチェーン展開にも向いています。
バーコード型が主流の理由④:決済機能との分離が容易
ICカード型は「決済+ポイント」が一体化しやすい反面、システムが複雑になります。
バーコード型なら決済はクレジットや電子マネーと分離でき、
「どんな支払い方法でもポイントが貯まる」
という自由度の高い運用が可能です。
これにより、楽天ポイントやTポイントのように複数店舗・複数決済手段を横断できる仕組みが実現しています。
まとめ:バーコード型は“最小コストで最大互換性”の現実解
ポイントカードがバーコード型である理由は、
- 安価に大量発行できる
- POSシステムと高い互換性を持つ
- 再発行・アプリ化が容易
- 決済システムと分離できる柔軟性
といった運用面の合理性にあります。
ICカード型が高機能であっても、「必要十分+低コスト」こそ店舗運営の鍵。
バーコード型ポイントカードは、そのバランスを最も効率的に実現した形といえるでしょう。

 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											