なぜ海水はしょっぱいのか?塩分の由来と海の循環システムをわかりやすく解説

夏に海で泳ぐと感じる「しょっぱさ」。
でも、なぜ海の水だけがしょっぱいのでしょうか?
実はこの塩分、ただ偶然に生まれたものではなく、地球規模の水と岩石の循環によって作られたものなんです。
この記事では、海水がしょっぱくなった理由と、塩分が長い年月をかけて維持されている驚きのメカニズムを解説します。
海水のしょっぱさの正体は「塩化ナトリウム」
海水にはさまざまなミネラルが溶けていますが、その約9割を占めるのが塩化ナトリウム(NaCl)、つまり食塩です。
そのほかにもマグネシウム・カルシウム・カリウムなどが微量に含まれています。
平均すると、海水1リットルあたりに約35グラムの塩分が溶けており、これが「しょっぱい」と感じる主な理由です。
塩分のもとは陸の「岩石」だった
海の塩分は、最初から海の中にあったわけではありません。
もともとは陸地にあった岩石が雨に溶け出した成分が、川を通って海に運ばれたものです。
流れとしてはこうです👇
- 雨が降る
- 雨水が岩石を少しずつ溶かす(風化作用)
- ナトリウムやカルシウムなどのミネラルが川に流れ込む
- それが最終的に海へと運ばれる
このプロセスが何億年も繰り返され、海の中にミネラルが少しずつ蓄積していった結果、現在の「しょっぱい海」ができあがったのです。
じゃあ、なぜ塩分は薄まらないの?
「川からは常に水が流れ込んでいるのに、海の塩は薄まらないの?」と思うかもしれません。
その理由は、海の水が蒸発しても塩は蒸発しないからです。
水が太陽の熱で蒸発して雲となり、やがて雨として戻ってくる一方で、塩分は海に残り続けます。
さらに、火山活動や海底の地殻変動によってもミネラルが供給されるため、結果として塩分濃度がほぼ一定に保たれているのです。
海の「塩の循環」システム
海の塩分はただ溜まっているだけではなく、地球全体で循環しています。
- 海底ではミネラルが堆積し、プレートの動きで地中へ沈み込む
- 火山活動でガスやミネラルが再び地表に放出される
- それが雨に溶け、また海へ戻る
このように、塩分は「海 → 大気 → 陸 → 川 → 再び海」という壮大なループを繰り返しているのです。
海ごとに塩分濃度が違うのはなぜ?
実は、すべての海が同じ濃さではありません。
海の塩分濃度は地域や気候によって変わります。
- 蒸発が多い地域(紅海など) → 濃い(40‰以上)
- 雨が多い・川が流れ込む地域(北極海など) → 薄い(30‰前後)
つまり、塩分濃度は気候・蒸発量・淡水の流入量によって自然に調整されているのです。
まとめ:海のしょっぱさは地球の歴史そのもの
海水がしょっぱいのは、長い時間をかけて陸の岩石が削られ、ミネラルが蓄積された結果です。
そして今も、蒸発・降雨・火山活動といった地球の循環システムによって、そのバランスが保たれています。
つまり、私たちが感じる海の「しょっぱさ」は、地球が生きている証でもあるのです。