左投手を「サウスポー」と呼ぶのはなぜ?言葉の由来と意外な野球用語の語源も紹介

数あるスポーツの中でも、野球ほど専門用語やルールが複雑な競技は少ないかもしれません。
私自身、20年ほどプロ野球を見続けてきましたが、いまだにすべてのルールを理解しているとは言い切れません。
また、一般的によく知られている野球用語でも、その語源や由来まではあまり知られていないことが多いように感じます。
その代表的な例が「サウスポー」という言葉です。
「サウスポー」はどんな意味?
「サウスポー(southpaw)」は、野球をはじめとする多くのスポーツで左利きの選手を指す言葉として使われています。
とくに野球では、左投げの投手=サウスポーというイメージが定着していますが、この言葉はいったいどこから来たのでしょうか?
直訳すると「南の手」?
“Southpaw”という英単語を分解してみると:
- south:南
- paw:動物の前足(俗語で「手」)
つまり、直訳すれば「南の手」や「南側の手」となります。
これだけではピンと来ませんが、実はこの言葉には球場の設計と投球の方向が関係しています。
野球場の構造と「サウスポー」の関係
MLB(メジャーリーグ)の公認規則1.04には、以下のような文言があります:
“It is desirable that the line from home base through the pitchers plate to second base shall run East-Northeast.”
(本塁から投手板を通って二塁に至る線は、東北東を向くのが望ましい)
このように、理想的な野球場の配置では、打者が西日を避けられるよう設計されています。
この配置を前提にすると、左投げのピッチャーの腕は南側(=サウス)から出てくるということになります。
19世紀末、アメリカのスポーツ記者チャールズ・シーモアが、この点に着目して“southpaw”という表現を使い始めた、という説が有力です。
他にもある「サウスポー」の由来説
ただし、これが唯一の説というわけではありません。
もう一つ有力なのは、「左利きのピッチャーにアメリカ南部出身者が多かった」という説です。特定の地域や文化的背景が影響したという見方もあります。
どちらが正しいかは断定できませんが、いずれにせよ「サウスポー」は球場の構造や文化的背景をもとに生まれた野球用語ということがわかります。
用語の背景を知ると野球がもっと面白くなる
試合を観戦していると、つい当たり前のように使ってしまう言葉の数々。
そのひとつひとつに、文化的・歴史的な背景があると知ると、野球の楽しみ方が一段深まるかもしれません。
今度野球中継を見るときには、用語のルーツにも注目してみてはいかがでしょうか?







