こんにちは。ライターのエポニムです。
みなさんは「日本の首都はどこ?」と聞かれたら、何と答えますか?
大多数の人は「東京」と答えるかと思いますが、実はこの回答、厳密に言うと正しくありません。
では本当の日本の首都は一体どこなんでしょうか。
世界の首都の決め方
日本の首都がどこかを解説する前に、世界の首都がどのようにして決められているかを紹介します。
結論からいうと、世界の首都は憲法や法律によって定められていることが多いです。
具体的には、ドイツやオランダなどの国は、憲法や法律によって首都を明確に定めています。
また、アメリカなどのように、首都を明確に指定する法律自体はないものの、別の法律の文章内で首都がある地域を明示する、という形で首都を定めている国もあります。
首都を定めた法律が存在しない
上で説明したように、首都は憲法や法律によって明示されるのが一般的です。
しかし、現在の日本には「日本の首都は東京」ということを直接的に定めた法律はありません。
その理由は、首都の決定経緯にあります。
もともと、明治時代に京都から江戸へ都が移ったときには、天皇の詔勅(しょうちょく)によって東京が都であると決まりました。戦前は法律よりも詔勅が優先であったため、法律でわざわざ首都を定める必要がありませんでした。
その後、戦争が終わって天皇が主権を失うと、1950年の首都建設法によって以下のように定められました
『第一条 この法律は、東京都を新しく我が平和国家の首都として十分にその政治、経済、文化等についての機能を発揮し得るよう計画し、建設することを目的とする。』
つまり1950年時点では、法律によって明確に「日本の首都は東京」と示されていたのです。
しかし、この首都建設法は1956年に廃止され、その後に成立した首都圏整備法においては、以下のように、首都を明確に指定する表現を用いなくなりました。
『第二条 この法律で「首都圏」とは、東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域をいう。』
この条文の意味は「東京都の周辺を首都圏とする」ということあって、「東京を首都とする」ということではありません。他にも同じような条文がある法律はありますが、どれも東京が首都であるという定義自体には触れていません。
ここまでの話をまとめると、東京都は法律上は首都と定められていない「事実上の首都」なのです。
冒頭の質問回答が厳密には正しくない、というのはこのような理由から来ていたのです。
おわりに
日本の首都が実は法律で定められていない、というのは意外だったのではないでしょうか。
この他にも、当たり前だと思っていたことが実は思い込みだったという意外な発見は、日常にもたくさん潜んでいるので、調べてみると面白いかもしれませんね。